研究概要 |
本研究までに、内分泌細胞におけるTASK1チャネルの機能調節にジロイシンモチーフを介したクラスリン依存性エンドサントーシスが関与することを明らかにした。本年度は、TASK1チャネルエンドサイトーシスのさらに詳細な分子機構の解明を試みた。まず、前年度同様、TASK1チャネルのエンドサイトーシス制御に重要なアミノ酸残基の検索を行った。NGF刺激によってTASK1チャンルのチロシンリン酸化の亢進が観察されることから、チロシンリン酸化部位の再考を試みた。解析の結果、370番目のチロシン残基を欠損した変異体(TASK3チャネルのC末端に置換した変異体)において、エンドサイトーシスの抑制が観察された。Y370のリン酸化が、LL263/264のジロイシンモチーフとともにエンドサイトーシス制御に重要な役割を果たすことが示唆された。また、SrcおよびPKC阻害剤や強制発現系(SrcWT/KD)を用いた解析から、PKCの活性化を介したSrcの活性化によるTASK1チャネルのチロシンリン酸化が、エンドサイトーシスに重要な役割を果たすことが示唆された。さらに、TASK1チャネルのエンドサイトーシスを制御するシグナル伝達系について詳細に解析した。阻害剤を用いた解析に加え、TrkA欠損細胞(PC12nnr5)にTrkA変異体を再導入した細胞を用いた解析により、TASK1チャネルのエンドサイトーシス制御には、PI3K、PLC両酵素の活性も必要であることが示唆された。以上の結果から、PKCを介したSrc kinaseの活性化によるチロシンリン酸化の制御、PI3K,PLC両酵素による直接的あるいは間接的な制御が、TASK1チャネルのエンドサイトーシス制御に重要な役割を果たすことが示唆された。
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