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2010 年度 実績報告書

心不全における活動筋反射:アンジオテンシンII・酸化ストレスの役割

研究課題

研究課題/領域番号 22790226
研究機関鳥取大学

研究代表者

木場 智史  鳥取大学, 医学部, 講師 (40565743)

キーワード活動筋反射 / 高血圧 / 心不全 / 運動 / 交感神経 / 自律神経機能不全 / 循環器疾患
研究概要

運動時に交感神経系を反射性に刺激する活動筋反射と呼ばれるメカニズムは,活動骨格筋中の機械的・化学的刺激が筋求心性神経を刺激することで惹起する.心不全では活動筋反射が過剰になるが,そのメカニズムは解明されていない.心不全などの循環器疾患ではレニン・アンジオテンシン系が亢進する.アンジオテンシンII(AngII)はそのタイプ1受容体を刺激することでNADPH酸化酵素を活性化させ酸化ストレスをもたらすことが血管内皮細胞や神経細胞で報告されている.そこで本研究では,AngIIの増加が骨格筋中に酸化ストレスをもたらし,それが活動筋反射を過剰にするとの仮説を検証した.アルゼット浸透圧ポンプを用いてラットに2週間継続して,AngIIを皮下投与した.その結果,血圧レベルは有意に上昇した(高血圧状態).高血圧ラットの活動筋反射応答(後肢骨格筋の収縮に対する反射性腎交感神経・動脈圧応答)は,Sham対照群の応答よりも有意に大きかった.この過剰な活動筋反射応答はスーパーオキシドディスムターゼの模擬化合物であるテンポールを後肢循環中に動脈内投与することで抑制された.またRT-PCR実験から,NADPH酸化酵素の一つであるgp91phoxのmRNAはAngIIの投与によって骨格筋中で増加することが示された.これらの結果は,AngIIの投与が骨格筋中でNADPH酸化酵素をupregulateして酸化ストレスをもたらし,それが筋求心性神経の感受性を高めて活動筋反射を過剰にすることを示唆する.この機序は,心不全や高血圧などレニン・アンジオテンシン系が亢進する循環器疾患での活動筋反射を過剰にするメカニズムであると考えられる.AngIIによって骨格筋中の活性酸素およびgp91phoxタンパク質が増加したかについての直接証拠を得ることが次年度の課題として残った.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Transient potential type A1 channel contributes to activation of the muscle reflex2011

    • 著者名/発表者名
      Koba S, Hayes SG, Sinoway LI
    • 雑誌名

      American Journal of Physiology Heart and Circulatory Physiology

      巻: 300 ページ: H201-H211

    • 査読あり
  • [学会発表] Oxidative stress exaggerates the muscle reflex in rats with hypertension induced by chronic infusion of angiotensin II2011

    • 著者名/発表者名
      木場智史
    • 学会等名
      第88回日本生理学会大会
    • 発表場所
      (震災のために誌上開催)
    • 年月日
      20110328-20110330
  • [学会発表] 心不全における運動時交感神経調節機構2010

    • 著者名/発表者名
      木場智史
    • 学会等名
      第25回生体生理工学シンポジウム
    • 発表場所
      岡山大学医学部(岡山市)
    • 年月日
      2010-09-24
  • [学会発表] Bradykinin receptor blockade reduces sympathetic nerve response to muscle contraction in rats with heart failure2010

    • 著者名/発表者名
      木場智史
    • 学会等名
      第87回日本生理学会大会
    • 発表場所
      盛岡市民文化ホール・いわて県民情報交流センター(盛岡市)
    • 年月日
      2010-05-20
  • [学会発表] Effect of the estrous cycle on the muscle reflex in female rats2010

    • 著者名/発表者名
      木場智史
    • 学会等名
      Experimental Biology 2010
    • 発表場所
      Anaheim convention center(米国カリフォルニア州アナハイム)
    • 年月日
      2010-04-28

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公開日: 2013-06-26   更新日: 2014-05-20  

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