研究概要 |
エストロゲンの急性効果を仲介するエストロゲン受容体(estrogen receptor: ER)の候補としてexon 1欠損型mRNAから翻訳されるERα46と呼ばれるN末端欠損型ERα変異体が従来から知られていた。また、ヒト肝臓には、肝臓特異的にERα遺伝子を制御するプロモーター(プロモーターE)の存在が知られていた。研究代表者はこれまでラットでERα46をコードするmRNAを発見するとともにヒトでERα46をコードする新規スプライスバリアントの存在を報告している。 研究代表者は、ヒト肝臓のERα遺伝子を調べる過程でプロモーターEから転写活性化されるERα mRNAを解析し、ERα46をコードする新規スプライスバリアントを同定した(Ishii H., J. Steroid Biochem. Mol. Biol. (2013))。さらに、コードするタンパク質が同じではあるが、5’-非翻訳領域(5’-untranslated region: 5’-UTR)の構造が異なる複数のmRNAも見出した。肝臓特異的ERα mRNAの5’-UTRの機能をルシフェラーゼレポーターベクターを使用して解析したところ、それら5’-UTRはERα mRNAの転写後調節に関与し、翻訳効率の低減担っており、mRNAの安定性変化には関与しないことが明らかとなった。
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