研究課題
【緒言】本研究の目的は、心理的ストレスと性機能障害との関連を明らかにすること、またその解決手段を見出すことである。前年度、コミュニケーションボックスによる心理的ストレス負荷によって、(1)マウスの社会性行動が障害されるとともに、(2)雌性成熟マウスに対する性的行動接触潜時の延長および性的行動接触時間の短縮を確認した。そこで、心理的ストレス負荷後に豊かな環境下で飼育することの影響を観察した。【方法】実験には、8週齢の成熟雄性マウス(C57BL/6J)を用い、コミュニケーションボックスによる心理的ストレスを1週間与えた。その後2週間に透明アクリル製ケージ(L 50 x W30 x H 20 cm)内にプラスティック製のトンネル、シーソー、滑車および木製の小部屋を設置し、これを豊かな環境としてこのケージ内で飼育した。飼育後、行動学的手法を用いてオープンフィールド試験、社会性行動試験、高架式十字迷路試験、強制水泳試験、新奇物体認知試験を行い、情動機能及び認知機能について評価した。その上で、性行動試験を行った。【結果および考察】昨年度報告したように、コミュニケーションボックスによる心理的ストレス負荷によって、社会性行動が障害され、高架式十字迷路における不安感受性が高まっていた。さらに性行動障害が観察された。その他の行動は特に影響されなかった。2週間の豊かな環境下での飼育によって、社会性行動障害および不安感受性の亢進については緩解されたが、性行動障害に対しては緩解作用が十分ではなかった。以上のことから、(1)心理的ストレス負荷によって情動障害と共に性行動障害が誘発されること、(2)性行動障害の緩解のためには2週間の豊かな環境下飼育では不十分であることが示唆された。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (14件) 図書 (1件)
Int J Neuropsychopharmacol
巻: (掲載決定)
10.1017/S146114571100085X
Addict Biol
doi:10.1111/j.1369-1600.2011.00425.x
Psychopharmacology (Berl)
巻: 219(1) ページ: 181-190
Neuropharmacology
巻: 62(1) ページ: 492-502
Behav Brain Res
巻: 220(1) ページ: 185-93
Biol Pharm Bull
巻: 34(9) ページ: 1358-1363