視床下部に存在するGABA作動性神経は、体温調節神経機構において、中心的な役割を果たしている。本研究では、体温調節機構の動作原理を明らかにすることを目的とし、GABA作動性神経特異的に光感受性タンパク質(チャネルロドプシン2(ChR2);ハロロドプシン(Halo))を発現する遺伝子改変マウスを作成した。GAD67遺伝子座にテトラサイクリントランスアクティベーター(tTA)をノックインしたGAD67-tTAマウスとTet-O ChR2マウスを交配させて、GABA作動性神経特異的にChR2を発現する遺伝子改変マウスを作成している。組織化学的解析の結果、GABA作動性神経へのChR2の発現が認められた。しかし、その発現率・発現量共に十分では無く、そのままでは電気生理学的解析に進むことが難しいと判断された。これはtTAの発現量に起因する可能性があったため、GAD67-tTA遺伝子座にtTAと同時に挿入されたネオマイシンカセットの除去を試みた。これまでの経験からネオマイシンカセットの除去によってtTAの発現量が増加することが分かっている。PCRによって、ネオマイシンカセットの除去を確認し、再びTet-O ChR2マウスと交配を行った。しかしながら、組織化学的解析の結果これでもChR2の十分な発現を得ることが出来なかった。今後は遺伝子改変マウスだけでなく、ウイルスベクターを用いた遺伝子導入法の併用を検討していく。
|