研究課題
1.食餌性肥満モデルゼブラフィッシュへのニカラベン投与実験まずゼブラフィッシュに対し、肥満誘導を行いながら同時にニカラベンを経口投与したところ、200mg/kgBW以上の投与量で、過剰給餌による体重増加の抑制および、血漿中性脂肪低下、CTによる内臓脂肪量の減少を認めた。なお摂食量には変化を認めなかった。次に、それぞれの肝臓・内臓脂肪組織からtotal RNAを抽出し、ニカラベンの標的分子であるヘムオキシゲナーゼ1(hmoxl)遺伝子の発現を確認した。肥満誘導で減少していたhmoxl遺伝子発現が、ニカラベン40mg/kgBW以上の投与量で、その発現が上昇し、回復することを確認した。次にニカラベンの抗肥満作用が、アディポジェネシスの抑制なのかアディポライシスの亢進なのかを明らかにするため、肥満誘導後のゼブラフィッシュに対し、通常食とニカラベンの経口投与を行った。その結果、前述で認められた抗肥満効果は認められず、ニカラベンの抗肥満作用はアディポジェネシスに関与していると考えられた。2.DNAマイクロアレイによる内臓脂肪組織の大規模遺伝子発現解析およびネットワーク解析上記サンプルを用いて、内臓脂肪のDNAマイクロアレイ実験を行った。in silicoにおけるネットワーク解析の結果、抗酸化作用を中心としたパスウェイの存在が明らかになった。肥満による内臓脂肪の蓄積、その機能異常には酸化の亢進が示唆されており、ニカラベンはhmoxlの遺伝子発現上昇を介した抗酸化作用により内臓脂肪組織の異常増殖の抑制を促進していることが予想された。本解析の結果、hmoxlとの関連性が報告されていない、抗酸化作用と関連の深い複数の遺伝子の抽出に成功しており、2年度はこれら遺伝子群とニカラベン、hmoxlとの関係についてより詳細な研究を行う予定である。
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BMC physiology
巻: 10(published online) ページ: 21