研究課題
昨年度において、TRPM4イオンチャネルのモデル構築とその活動電位への影響及びTRPM4チャネル阻害の薬物効果の検討を行ったが、本年度にでは、昨年度の検討を基本として、さらなる心房細動に有効な薬物プロファイルの探索を行った。心房細動をはじめとする不整脈のトリガーの機序として、筋小胞体からのCa^<2+>放出による脱分極がある。従来の研究では、ナトリウムカルシウム交換輸送体が細胞内Ca^<2+>濃度の上昇を探知して、膜電位を脱分極させると説明されていた。しかし、ナトリウムカルシウム交換輸送体は心室のみならず多種多様な細胞に存在し、ナトリウムカルシウム交換輸送体の阻害を心房細動を抑える機序としては使用できない。一方、近年TRPM4チャネルがヒト心房筋細胞で大きな役割を果たしている可能性が示唆されている。本研究グループが予備研究で用いたCourtemancheらのモデルを使用して、TRPM4イオンチャネルとその活動電位への影響の検討を行った。今年度においては、より正確な薬物プロファイルを把握するために、心房細動の発生源である肺静脈を想定し、心房細動に特化した抗不整脈のプロファイルを検討した。基本的に肺静脈においては活動電位が短いために、心室や心房と異なる挙動をしめしたが、やはり頻脈時に細胞内の小胞体からカルシウムが漏れてくる時に遅延後脱分極を引き起こすことが解析により分かった。このような考察からTRPM4阻害剤の有効性が示唆された。
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Electrics diseases of the heart : Genetics, mechanisms, treatment, prevention
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