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2011 年度 実績報告書

硫化水素はインスリン分泌細胞を保護する-その作用と分子機序の解明-

研究課題

研究課題/領域番号 22790255
研究機関大分大学

研究代表者

谷口 繁生  大分大学, 医学部, 助教 (90392406)

キーワード硫化水素 / 細胞保護作用 / 膵B細胞 / 糖尿病 / ガス性メッセンジャー
研究概要

本研究の目的は、膵B細胞に対してガス性メッセンジャーである硫化水素が持つ保護作用の特性を検討することと、その分子的な作用機序を解明することである。現在までに私たちは、膵B細胞の主要な硫化水素産生酵素cystathionine-γ-lyase(CSE)が高濃度グルエースにより発現誘導を受けること(Kaneko et al.,FEBS Lett.,2009)、産生された硫化水素が糖尿病状態において生じる酸化ストレスを抑制して膵B細胞を保護することを報告した(Taniguchi et al.,Br.J.Pharmacol.,2011)。今年度の研究では、硫化水素のCSEを介した誘導性産生調節と膵B細胞保護作用の関係、さらに、高脂肪食負荷した『CSE遺伝子欠損マウスにおける耐糖能異常を明らかにした。阻害薬を用いた薬理学的実験および遺伝子ノックダウン、プロモーターアッセイなどの分子細胞生物学的実験から、グルコースによる膵B細胞のCSE発現誘導には、Ca^<2+>/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII、MAPキナーゼカスケード(MEK-ERK)、転写因子Sp1、Elk1が必要であることがわかった。つまり、高濃度グルコースで上記分子を介して発現誘導されたCSEにより内因性に生じる硫化水素が、膵B細胞を保護することが明らかになった。さらに、CSE遺伝子欠損マウスは、通常の飼育状態では高血糖を呈しないが、加齢と高脂肪食負荷により、耐糖能異常となることがわかった。若齢における高脂肪食負荷では耐糖能異常になりにくかった。したがって、このマウスは、遺伝的背景に加齢、食生活といった環境要因が加わって発症するヒトの2型糖尿病のモデルとして、非常に有用であると思われた。以上の結果から、膵B細胞におけるCSEを介した誘導性硫化水素産生の生理的意義の解明につながる成果をあげたと考える。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Protein phosphorylation involved in the gene expression of the hydrogen sulphide producing enzyme cystathionine γ-lyase in the pancreatic β-cell2012

    • 著者名/発表者名
      Shigeki Taniguchi, Toshihide Kimura, Tatsuhito Umeki, Yuka Kimura, Hideo Kinura, Isao Ishii, Norimichi Itoh, Yasuhito Naito, Hideyuki Yamamoto, Ichiro Niki
    • 雑誌名

      Molecular and Cellular Endocrinology

      巻: 350 ページ: 31-38

    • DOI

      DOI:10.1016/j.mce.2011.11.016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Significance of hydrogen sulfide production in the pancreatic β-cell2011

    • 著者名/発表者名
      Shigeki Taniguchi, Ichiro Niki
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacological Sciences

      巻: 116 ページ: 1-5

    • DOI

      DOI:10.1254/jphs.11RO1CP

    • 査読あり
  • [学会発表] マウス膵β細胞における硫化水素産生酵素のカルシウム依存性発現調節2012

    • 著者名/発表者名
      谷口繁生、木村俊秀、岡本光弘、仁木一郎
    • 学会等名
      第85回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      京都府京都市
    • 年月日
      2012-03-15
  • [学会発表] 膵島における硫化水素産生酵素の発現調節の種差について2011

    • 著者名/発表者名
      谷口繁生
    • 学会等名
      第64回日本薬理学会西南部会
    • 発表場所
      福岡県福岡市
    • 年月日
      2011-11-20
  • [学会発表] 硫化水素が膵B細胞を保護する分子機序の検討2011

    • 著者名/発表者名
      谷口繁生
    • 学会等名
      第54回日本糖尿病学会
    • 発表場所
      北海道札幌市
    • 年月日
      2011-05-20

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公開日: 2013-06-26  

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