研究課題
本申請課題の目的はシャペロンであるHSP70に会合するタンパク質を包括的相互作用解析することでストレス関連タンパク質を同定し、心保護あるいは心肥大発症・進展に関わる分子機序を解明することであった。当初予定した研究実施計画は安定同位体による標識、質量分析による相対定量と同定、バリデーション実験、個体レベルでの解析であった。作出抗体の交差性より心疾患モデルはラットを用いたアンジオテンシンII持続投与による心肥大モデルに限定することにした。心肥大モデルの心臓抽出液を調製し、HSP70抗体によるアフィニティー精製および質量分析による同定を行った。しかし、ラットのデータベースの充足度の問題から同定数が極めて少なく、有効な結果を得ることができなかった。そこでヒト大動脈血管平滑筋細胞を用いてアンジオテンシンII刺激に依存した結合分子の探索を行った。その結果、アンジオテンシンII刺激1時間後で糖代謝や核酸の代謝に関わる分子群、6時間後でクロマチンの構築に関わる分子群の結合を認めた。さらにカルシウムシグナル関連分子の結合も認めた。しかし、骨格系のタンパク質が圧倒的に多く、微量タンパク質がマスクされている印象を受けた。そこで、これ以上の解析を断念した。一方でヒトの血中HSP70複合体の単離精製を行った。慢性心不全患者のRemote ischemic post-conditioning治療を行う前と1週間後の血清に対してHSP70量と結合分子の解析を同法にて行った。その結果、治療によって血中HSP70量が上昇すること、結合分子が治療の前後で変化しうることを見出した。
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