研究課題
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis,ALS)は上位下位両運動神経が変性脱落する進行性の運動神経変性疾患である。中年期以降に発症し、発症から約2~5年で死に至る。現在根本的治療薬はない。TDP-43(Transactive response DNA-binding protein-43kDa)は殆どのALS患者で認められるユビキチン陽性封入体の主要構成成分であり、また孤発性家族性両ALS患者においてTDP-43遺伝子に変異が認めらることから、TDP-43の異常がALSの発症に密接に関与していることが示唆されている。これまで我々は、TDP-43の発現がALS患者の脊髄などにおいて上昇していることに着目し、高発現TDP-43が神経細胞に与える影響を検討してきた。その結果TDP-43は内在性の約2~5倍量の高発現によりBimの発現誘導およびBcl-xLの発現を低下させ、Caspase依存性神経細胞死を導くことを明らかにした。当該年度は、TDP-43誘導性神経細胞死のより詳細なメカニズムを解析し、以下のことを明らかにした。1.高発現TDP-43は小胞体ストレス誘導性細胞死メディエーターであるCHOPの発現を上昇させることにより神経細胞死を導く。2.ALS原因遺伝子であり、またその生理的機能として小胞体ストレス応答の一経路であるIRE1/XBP1経路を活性化することが知られているVAPBについて、VAPB関連ALSにTDP-43の神経毒性が関与しているか検討したところ、野生型VAPBはTDP-43による細胞死を抑制するが、変異型(P56S)はTDP-43の神経毒性を増強した。3.グリア細胞を含む非神経細胞においては、高発現TDP-43はp53依存性G2/M期停止を導く。
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http://www.tokyo-med.ac.jp/pharmacol/top.html