Ras-association domain family(RASSF)タンパク質は腫瘍抑制因子として働くことが知られている。私はこれまで、RASSFのひとつであるRASSF6が強い細胞死誘導能を持つこと、RASSF6は細胞死と細胞増殖の調節に機能するHippo pathwayと関係していることを明らかにしてきた。 RASSF6とHippo pathwayは静的条件下では互いを抑制しあうが、ひとたびHippo pathwayが活性化すると、互いに独立して細胞死を誘導するようになる。Hippo pathwayを介する細胞死については解析が進んでいる一方で、RASSF6がどのように細胞死を誘導するかはよく分かっていない。 そこで、本研究ではRASSF6の細胞死誘導機構の解明を主眼として研究を行っている。RASSF6が細胞死を誘導する機構に関連する候補分子としてTumor necrosis factor receptor associated factor 7(TRAF7)を得ている。TRAF7は細胞の生存と死を制御する転写因子の調節に関わっていることが知られている。本年度はRASSF6とTRAF7が結合することを免疫共沈法により確認した。この相互作用はRASSF6の中央部に位置するRas-association domainを介して起きることが明らかとなった。また、HeLa細胞内で両者の局在は一致した。RASSF6とTRAF7との相互作用の生理的意義について、現在解析を行っている。
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