Ras-associationdomainfamily(RASSF)タンパク質は腫瘍抑制因子として働くことが知られている。私はこれまで、RASSFのひとつであるRASSF6が強い細胞死誘導能を持つこと、RASSF6は細胞死と細胞増殖の調節に機能するHippopathwayと関係していることを明らかにしてきた。 RASSF6とHippopathwayは静的条件下では互いを抑制しあうが、ひとたびHippo pathwayが活性化すると、互いに独立して細胞死を誘導するようになる。Hippo pathwayを介する細胞死については解析が進んでいる一方で、RASSF6がどのように細胞死を誘導するかはよく分かっていない。そこで、本研究ではRASSF6の細胞死誘導機構の解明を主眼として研究を行っている。 本年度の研究により得られた結果を以下に列記する。1)ヒト腎臓近位尿細管上皮細胞であるHK-2細胞にソルビトールを用いて高浸透圧刺激を加えると、細胞死が誘導される。この細胞死にRASSF6が関係することを明らかにした。また、ソルビトール負荷時にRASSF6の局在が変化し、Rab4、Rab11と共局在することを見出した(以上の成果をまとめた論文は査読を終え印刷中)。2)RASSF6が誘導する細胞死にp53が関係していることを示すデータを得た。現在、RASSF6とp53との関係について解析を行っている。
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