オートファジーは細胞内の主要なタンパク質分解システムである。本研究課題では、オートファジーの栄養学的重要性を理解するために、(1)Tet-Offシステムを応用した時期得的Atg5^<-/->マウス、(2)脳でのみAtg5を発現させたAtg5^<-/->マウスの2つのモデルマウスを作成し、成獣における全身性Atg5^<-/->マウスの解析を行う。まず、Tet-Offシステムを利用した時期特異的Atg5^<-/->マウス(Atg5^<-/->:TRE-Atg5:tTA)の作成を開始した。本年度はTRE-Atg5トランスジェニックマウスを5ライン作成した。これらのマウスとtTAトランスジェニックマウスを交配し、TRE制御下におけるAtg5の発現を確認したところ、全身性にAtg5を発現するマウスを2ライン得ることができた。今後、これらのマウスとAtg5^<-/->マウスを交配し、目的のAtg5^<-/->:TRE-Atg5:tTAマウスを作成する。このモデルマウスを用いてオートファジーの栄養学的意義の解析を行う。また、(2)のモデルマウスについては、組織学的観察を中心に表現型解析を行った。Atg5^<-/->:NSE-Atg5マウスは発育遅延、低体重、低脂肪量などの表現型を示した。このため栄養代謝学的考察には、様々な要因を考える必要があることが分かった。解釈が複雑になる可能性を考えると、肝臓特異的ノックアウトマウスなど他のモデルの利用も考える必要があるかも知れない。また、精巣・赤血球・脾臓・腸管に異常が認められた。特に異常が著しい精巣および赤血球については、今後解析を続ける。
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