研究課題/領域番号 |
22790276
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
久万 亜紀子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (30392377)
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キーワード | オートファジー / 栄養代謝 / ノックアウトマウス |
研究概要 |
本研究課題では、オートファジーの栄養学的重要性を理解するために、(1)Tet-Offシステムを応用した時期得的Atg5^<-/->マウス、(2)脳でのみAtg5を発現させたAtg5^<-/->マウスの2つのモデルマウスを作成し、成獣における全身性Atg5^<-/->マウスの解析を行う。 (1)について 前年度作成したTRE-Atg5トランスジェニックマウスを用い、本年度は目的のAtg5^<-/->:TRE-Atg5:tTAマウスを作成した。このマウスが従来の単純ノックアウトの表現型である新生仔死亡を回避できるかを確認する必要があるが、まだAtg5^<-/->:TRE-Atg5:tTAマウスの出生後の生存が確認できていない。交配数を増やし、これを確認する必要がある。 (2)について 前年度のAtg5^<-/->;NsE-GFPAtg5の表現型解析から、このマウスは様々な表現型を示すため栄養代謝学的考察が難しいことが考えられた。そこで、肝臓特異的Atg5ノックアウトマウスも導入することにした。本年度は、肝臓特異的ノックアウトマウスのメタボローム解析を行い、オートファジー欠損が肝臓の栄養代謝にどうのような影響を与えるかを調べた。その結果、オートファジー不全はタンパク質代謝よりも、脂質代謝に大きく影響することが分かった。肝臓のグリコーゲンおよびトリグリセリドの貯蔵を調べたところ、ノックアウトマウスでは飢餓に伴うグリコーゲンの消費が遅く、一方、飢餓に伴うトリグリセリドの蓄積が抑制されることが観察された。アセチルCoAの極端な低下が見られたため、β酸化の異常を疑いさらに解析を行った。律速代謝酵素のqPCR解析および脂肪酸・トリグリセリド・グリセロールの測定を行ったところ、β酸化が低下していることが分かった。現在、なぜオートファジー不全がこのような変化をもたらすのか、肝初代培養細胞なども用いてその機序を調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)について:3種類のマウスを交配してAtg5^<-/->:TRE-Atg5:tTAマウスを得るため、予定よりも時間がかかっている。しかし、目的のマウスを得る交配までたどりついたので交配数を増やして解析を始める。(2)について:メタボローム解析に必要なマウス数を準備するのにやや時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)について:Atg5^<-/->:TREーAt85:tTAマウスを得る交配までたどり着いたので、交配数を増やし、このマウスの評価を行う。また、ドキシサイクリンでAtg5の発現抑制がでるかどうかの条件検討になるべく早く取りかかる。 (2)について:メタボローム解析から興味深いデータが得られているので、マウスだけでなく、肝初代培養細胞をうまく利用して解析を進める。
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