研究課題/領域番号 |
22790278
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
長瀬 尚志 信州大学, 医学系研究科, 助教 (70303451)
|
キーワード | シグナル伝達 / Delta / Notch / γ-セクレターゼ / Th細胞 |
研究概要 |
Notch/Deltaは両方向性シグナルであるが、免疫学分野においてNotchシグナルの研究は数多くあるが、Deltaシグナルの研究は少ない。そこで、末梢CD4T細胞の分化の際にDeltaシグナルがどのように関わるかをNotchシグナルの役割と並べて検討するのが本研究の目的である。 22年度までに末梢CD4T細胞を抗CD3と抗CD28のビーズで刺激(プライミング)する際にNotchもしくはDeltaを発現したCOS7細胞を共存させることでDeltaシグナルおよびNotchシグナルをT細胞に与え、どのようなヘルパーT(Th)細胞に分化したかを調べるために、細胞内サイトカイン染色やTh分化の指標となるマスター遺伝子の発現をRT-PCRにより検討したが、大きな差は認められなかった。 23年度は、このプライミングが一度だけでは完全なTh細胞への分極化が見られないということで、同様の刺激を頻回行なうことで、さらに検討を進めた。しかしながら、抗CD3と抗CD28のビーズ(ミルテニ社)のプロトコール通りの刺激(1回目と同じ)を2回目に行なったところ、刺激が入らないようで、細胞が十分活性化・増殖しなかった。何度か同様に試みたものの、うまく刺激が入らないようだったので、頻回刺激できる条件を検討することにした。ファクターとしては一回目から二回目までのインターバル期間の長さ、増殖に必須であるIL-2の添加する濃度、細胞の濃度やビーズの濃度(比率)などを主に検討した。結果として、IL-2の濃度を少し下げることで2回目以降の刺激が入り、増殖することが分かった。インターバルについては1週間から10日程度で調べたが、10日経過すると細胞がかなり死に始めるため、7-8日程度が良いと判断した。上記条件にすれば、細胞濃度やビーズ濃度はプロトコール通りで刺激できた。以上より、今後はIL-2の濃度を下げた状態で行なうことにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初考えていた頻回刺激の実験において、2回目以降の刺激が充分に入らなかったために、その条件検討を行なうのに時間がかかってしまい、やや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成23年度に続き、頻回刺激の実験を行なうとともに、ある特定のThを誘導するサイトカインを加えた状態で刺激する際にNotch/Delta刺激を加えることでの影響を調べる。特にTGF-βを必要とするTregおよびTh17分化において、転写因子SMADを介するTGF-βシグナルをDeltaシグナルが修飾することが神経細胞分化で分かっていることより、この点に重点をおいて検討したい。この際にも、サイトカインの条件や抗CD3と抗CD28抗体刺激の条件がポイントになり、細かな条件検討が必要かもしれないので、その点も考慮しながら実験を進めていきたい。
|