研究課題
神経軸索損傷後の側枝形成に逆行性軸索輸送が関わることを証明し、in vivoでの意義を解析申請者は既に、in vitroで培養した神経細胞の軸索を切断する実験系を確立し、軸索切断された神経細胞から新たな側枝が発芽する現象の観察に成功した。胎生18日目のラット胎児から単離した大脳皮質神経細胞を一週間分散培養した後、30G針を先端に装着したマニピュレーターを用いて、その軸索を切断した。切断された神経細胞とコントロールの神経細胞はタイムラプス顕微鏡下にて12時間観察された。その結果、軸索切断された神経細胞のうち約3割の神経細胞では、約2~3時間後に側枝が発芽する現象が観察された。一方、軸索切断を受けていないコントロールの神経細胞では、この現象は全く見られなかった。次に申請者は逆行性軸索輸送、そしてその中心蛋白質であるdynactinに着目し、siRNAを用いた実験によって軸索損傷後の側枝形成に逆行性輸送が関わる可能性が示唆された。このように、軸索切断された神経細胞では逆行性輸送により側枝形成が促進されていることが分かった。この現象がin vivoでどのような意義を持つかを調べるため、申請者は脊髄損傷モデルの確立に成功し、上記の現象が脊髄損傷後において観察されるかをしらべるための予備的な実験を行っている。また、dynactinによって運ばれるタンパク質を調べるため、BMPとRGMaタンパク質に着目して解析を行う準備をしている。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
The Journal of Biological Chemistry
巻: 286 ページ: 5157-5165