研究課題/領域番号 |
22790298
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
横田 明日美 京都府立医科大学, 助教 (00571556)
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キーワード | Runx1 / 転写因子 / 造血 / 翻訳後修飾 |
研究概要 |
Runx1は急性骨髄性白血病の相互転座の解析によって遺伝子が同定され、その後の研究によって胎生期における二次造血の開始、また成体における巨核球やT細胞の分化における役割が示されているが、細胞内外からのどのようなシグナルによってRunx1の機能が制御されているかについては、不明な点も多い。本研究では、造血発生、造血制御に重要な役割を果たす転写因子Runx1について、どのような機構で機能制御を受けているのかについて、特にリン酸化修飾に焦点を絞って検討を行っている。 当該年度では、Runx1タンパク内のセリン/トレオニンをアスパラギン酸に置換したリン酸化状態を模倣した変異体、またはアラニンに置換した脱リン酸化状態を模倣した変異体Runx1をノックインベクターに載せ換え、Runx1ノックアウトマウスES細胞に遺伝子導入を行い、変異体Runx1が相同組み換えにて挿入されたクローンをSouthern Hybridizationを行って選択した。これらのES細胞クローンを、in vitroで血球細胞への分化誘導を行うため、エリスロポエチンやSCFなどの造血サイトカインを含むメチルセルロース培地上で培養を行った。この培養条件において、Runx1ノックアウトES細胞は全く血球細胞への分化が見られないが、Runx1ノックアウトES細胞に野生型Runx1を相同組み換えにて導入したものは、再び血球細胞への分化が認められるようになる。アスパラギン酸変異体、またはアラニン変異体を相同組み換えにて導入したRunx1ノックアウトES細胞の結果の解析を進めているところである。これまでの結果ではアラニン変異体、アスパラギン酸変異体の両方において血球細胞の分化が認められている。野生型と比較してどうであるか、また出現する血球細胞の形態に特徴が無いか、などについてより詳細な解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ノックインベクターの構築に時間がかかってしまったこと、マウスES細胞にRunx1変異体を相同組み換えさせ、その後Southern Hybrydizationで組み換え体クローンをスクリーニングする際、イメージング装置が故障してしまい、スクリーニングにかかる時間が予想以上に長くなってしまったため、達成度にやや遅れが認められる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画と同様に、作製したRunx1変異体の相同組み換えES細胞をマウス胚盤胞にインジェクションし、キメラマウスを作製し、その後ヘテロ、ホモのノックインマウスを作製するため交配を行っていく。その経過で、何らかの表現型が認められるかどうか、慎重に観察も行う。
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