1.野生型マウスのUUOモデルを用いて、Skp2がp27を特異的にユビキチン化するのに必要なCks1の発現をmRNAおよびタンパクレベルで解析した。UUO腎において、Cks1はmRNAおよびタンパクレベル共に、発現が亢進しており、Skp2と同様な発現パターンであることがわかった。また、免疫染色においてCks1およびSkp2のタンパク発現とp27のタンパク発現が逆相関であることが示された。これにより、腎障害ではSkp2がp27を特異的に制御している可能性が高まった。 2.野生型マウス以外に、比較対照群としてSkp2ノックアウトマウス、p27ノックアウトマウス、Skp2-p27ダブルノックアウトマウスを用いてUUOマウスモデルを各比較検討群で4匹作製した。 3.PAS染色、線維化の指標となるマッソントリクローム染色を用いて、組織学的検討を行った。野生型マウスと比較してp27ノックアウトUUO腎では、尿細管上皮細胞の数が顕著に増加しており、尿細管の拡張も野生型より増加していた。一方、Skp2ノックアウトマウスUUO腎では野生型マウスより腎障害が軽減されたが、Skp2-p27ダブルノックアウトマウスにすることにより再び腎障害の進行が確認された。Skp2-p27ダブルノックアウトマウスUUO腎の尿細管の拡張は野生型よりも増加し、p27ノックアウトUUO腎と同レベルであった。これらのことにより多くのターゲットを持つとされるSkp2は、腎障害において、特異的にp27を制御している可能性が高まった。 4.細胞増殖マーカーとしてKi67抗体を用いて免疫染色を行った。Skp2ノックアウトマウスUUO腎で尿細管上皮細胞の細胞増殖は抑制されたが、Skp2-p27ダブルノックアウトマウスUUO腎にすることにより、抑制が解除された。尿細管拡張が顕著に見られるp27ノックアウトUUO腎では、細胞増殖も盛んであることが確認された。
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