研究概要 |
これまで々は、Angpt12慢性炎症を基盤病態とする疾患の発症や進展に関する炎症制御因子であることを明らかにしている。Angpt12の発現誘導は、疾患の発症や進展の分子基盤となっているが、その発現誘導機構の詳細は不明であった。そこで、ヒトAngpt12の発現誘導に必須のプロモーター領域として、転写開始点から上流-168bpの領域を既に見出していたことから、この領域を対象にAngpt12を発現しているヒト肺癌細胞株を用い詳細な解析を行った。その結果、NFAT, ATF2およびc-Junの3因子が協調的に作用しAngpt12の発現を誘導していることが明らかとなった。 Angpt12発現には、24時間の概日リズムが存存することを既に見出していることから、Angpt12発現と概日時計機構との関連性について検討を行った。マウスの各組織におけるAngpt12発現をリアルタイムPCRにて経時的に観察したところ、脂肪組織をはじめ様々な組織において24時間の周期性が確認された。また、Angpt12レポーター活性は、時計遺伝子BMAL1とClockの共発現により誘導された。以上の結果から、Angpt12の周期的発現は、概日時計機構により制御されていることが示唆された。本研究により、これまで解明されていなかったAngpt12の発現調節機構として、NFAT, ATF2, c-Junの関与が明らかとなり、概日時計機構についてもその関与が示唆されたことは、Angpt12発現誘導による病態の分子基盤の解明に繋がる重要な成果であると考える。
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