研究課題
1.肺線維症におけるエストロゲン受容体およびアロマターゼの発現:非腫瘍性肺疾患に関するエストロゲンを含めたステロイドホルモンの作用を明らかにするため、肺線維症におけるエストロゲン受容体(estrogen receptor:ERαおよびERβ)の発現を免疫組織化学にて検討した(18症例)。ERαは14例でERβは全例で上皮細胞もしくは間質細胞に陽性を認めた。その詳細な陽性率はERαおよびERβそれぞれ、細気管支上皮細胞50%、83%;II型肺胞上皮細胞56%、94%;間質細胞44%、33%だった。一方。エストロゲン合成酵素であるアロマターゼについては、ERαおよびERβのいずれかが陽性の症例で同時に発現する傾向が認められた。その中で間質細胞でのアロマターゼは、既存の肺構造の消失を伴い広範に広がる厚い線維化部位で陽性となり、線維芽細胞巣では陰性だった。2.肺組織におけるエストロゲン濃度の測定:剖検症例の肺組織を採取し、エストロゲン(estradiol)濃度の測定を液体クロマトグラフ-タンデム質量分析(あすか製薬メディカル)にて測定した(3症例15病変)。同組織の病理標本を作製し、線維化の程度とエストロゲン濃度の関係を検討した。結果、エストロゲン濃度は線維化の程度が高い病変で高値を示す事が明らかとなった(現在、症例数を増やして検討中)。以上、肺線維症において、エストロゲンがその病態形成に関わっている事が示唆された。また、病巣局所でアロマターゼによるエストロゲン合成が行われていると考えられる。
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Molecular and Cellular Endocrinology
巻: (未定 印刷中)
Steroids
Cancer Research
巻: 70 ページ: 6659-6669