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2010 年度 実績報告書

新たな甲状腺癌特異的バイオマーカーの生物学的意義とその臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 22790350
研究機関東海大学

研究代表者

菊地 智樹  東海大学, 医学部, 助教 (50404588)

キーワード甲状腺乳頭癌 / SNX5
研究概要

甲状腺乳頭癌は甲状腺癌の90%を占める悪性腫瘍であり、早期にリンパ節転移を来し予後不良群も存在するため、腫瘍形成の予防や転移制御の解明が急務である。一方腺腫様甲状腺腫は良性の過形成病変であるにもかかわわらず乳頭癌発生のリスクを高めることが疫学的に知られているが、その背景となる分子生物学的メカニズムの詳細は明らかにされていない。本研究では細胞増殖や運動に関連するSNX5蛋白に対するモノクローナル抗体を樹立しパラフィンブロックによる免疫組織学的解析を行ったところ、SNX5蛋白が腺腫様甲状腺腫と甲状腺乳頭癌に発現し、特に甲状腺乳頭癌で強発現していることを見いだした。さらにSNX5の高発現はmRNAレベルでも確認された。またSNX5蛋白強制発現細胞株はMTT細胞増殖アッセイにおいて、細胞増殖能の上昇がみられ、さらに細胞増殖およびアポトーシス関連蛋白の網羅的解析を行ったところ、SNX5強制発現細胞株においてG2/M期に発現する蛋白の一つが高発現することを見いだした。また甲状腺の発癌モデルマウスでの甲状腺癌組織中においてもSNX5のmRNAレベルの高発現がみられた。こうした研究結果から、甲状腺乳頭癌はSNX5の高発現によって細胞周期制御蛋白を誘導し、細胞増殖能を上昇させることが考えられた。さらにSNX5は腺腫様甲状腺腫からの甲状腺乳頭癌の発癌メカニズムを説明する可能性がある。
現在、SNX5と細胞増殖の分子メカニズムの詳細な解析を行っているが、現在までに知られる甲状腺乳頭癌の遺伝子異常であるBRAFやRASのpoint mutation、RET/PTCやTRK rearrangementとSNX5の関連を検討したいと考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Arachidonate 5-lipoxygenase establishes adaptive humoral immunity by controlling primary B cells and their cognate T-cell help.2011

    • 著者名/発表者名
      Tsutomu Nagashima
    • 雑誌名

      American journal of pathology

      巻: 178 ページ: 222-232

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 偽血管腔構造が特徴的な皮膚髄膜腫2010

    • 著者名/発表者名
      外岡暁子
    • 雑誌名

      診断病理

      巻: 27 ページ: 123-127

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 若年成人女性の骨盤腔内に発生した胎児型横紋筋肉腫、紡錘形細胞亜型の1例2010

    • 著者名/発表者名
      計良淑子
    • 雑誌名

      診断病理

      巻: 27 ページ: 36-39

    • 査読あり
  • [学会発表] 新たな甲状腺乳頭癌特異的バイオマーカーSNX5の意義とその臨床応用2012

    • 著者名/発表者名
      荒志保子
    • 学会等名
      第99回日本病理学会総会
    • 発表場所
      京王プラザホテル
    • 年月日
      2012-04-28

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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