研究概要 |
粘表皮癌は唾液腺悪性腫瘍の中でもっとも頻度の高い腫瘍である。我々はこれまで、新規遺伝子異常CRTC1-MAML2キメラ遺伝子およびCRTC3-MAML2キメラ遺伝子が、この腫瘍に特異的であり、予後良好と関連する重要な分子生物学的マーカーであることを世界に先駆けて報告した。キメラ遺伝子による腫瘍発生機序としてcAMP response-element bindin gproteinシグナル経路を異常化することが想定されているが、その詳細は明らかではない。申請者はCRTC1-MAML2、CRTC3-MAML2キメラ遺伝子による腫瘍発生機序、想定されるその他の遺伝子異常、現在用いられている分子標的治療剤の応用の可能性を明らかにするために以下の研究を行う:1)腫瘍発生および腫瘍進展に関連する遺伝子DNAメチル化異常の検索;粘表皮癌多数症例を用いて、p16、p14、CDH-1、DAP-K、TIMP3、GSTP1、APC、BRCA1の癌抑制遺伝子を中心とした8遺伝子について、DNAメチル化異常と臨床病理学的解析を行った。p16,TIMP-3について全生存率で予後因子となることが明らかとなり、現在論文投稿に向けて準備段階である。2)その他のMAML 2 関連遺伝子異常のスクリーニングおよび同定;MAML2 break apart FISH probeを用いて、粘表皮癌症例においてMAML 2 split陽性症例をスクリーニングし、その臨床病理学的特徴が明らかになった。現在論文投稿に向けて準備を進めている。
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