本研究は乳癌の予後因子でありトラスツズマブ治療に関連するHER2(human epidermal growth factor receptor type 2)遺伝子発現の癌における多様性とpolysomy17の関連性についてDISH(Dual color in situ hybridization)法を用いて検討した研究である。1つの癌でも浸潤部と乳管内病変によってHER2遺伝子の状態やCEP17(centromere17)コピー数が異なる症例を認める多様性がみられ、これらが癌の間質浸潤に関与している可能性が示唆された。しかし上記のような症例は少なく継続した検討が必要と思われる。また癌によってはpolysomy17がHER2判定結果に影響を及ぼすと推測され、HER2判定方法について今後は治療効果との関連性をふまえて検討するべきであると考える。
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