[目的]DLBCLにおいて、これまでに細胞周期調節に関与するSkp2蛋白発現に着目し、高発現群は予後不良であることを報告している。今回我々は、Skp2蛋白発現異常の包括的なアプローチとして、Skp2遺伝子と相関する標的遺伝子を抽出することを目的としてマイクロアレイ解析を行ったので報告する。[方法]免疫組織染色により、Skp2蛋白発現を確認した凍結組織からtotal RNAを抽出した。これらを基にビオチン化cRNAを増幅し、Illumina human WG-6(ver.3)ビーズチップでのマイクロアレイ解析を行った。limmaプログラムを用いてアレイ解析を行い、P<0.01で有意差が認められた遺伝子を抽出し、得られた遺伝子リストをIPA(Ingenuity pathway analysis)で解析した。[結果]まず、CD10、MUM1、Bcl-6などの蛋白の発現によるCell OriginとSkp2遺伝子について、層別化解析を行い、Skp2はCell Originとは独立した予後因子であることを明らかにした。次に、Skp2でクラスター解析を行った。Skp2高発現群4例、Skp2低発現群4例について、limma解析にて有意差のあった633遺伝子では、高発現群が低発現群に比して発現亢進を認める遺伝子が311遺伝子、発現減衰を認める遺伝子が322遺伝子であった。特に正の相関を認めた候補遺伝子群として細胞周期、MAPK、JAK/Stat、Myc関連のアポトーシス等が含まれていた。現在は、特に、変動の見られた遺伝子について細胞株を用いて蛋白発現および細胞周期との関連、増殖効果を確認中である。
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