研究概要 |
卵巣明細胞腺癌細胞株OVISEにおいてCTGFsiRNAを投与した群ではControlsiRNAを投与した群とくらべて、パクリタキセルの感受性が低い傾向がみられた。 また、卵巣漿液性腺癌細胞株OVSAHOにおいてCTGFsiRNAを投与した群ではControlsiRNAを投与した群とくらべて、パクリタキセルの感受性が低い傾向がみられた。 カルボプラチン、シスプラチン、ドキソルビシンにおいてはOVISE,OVSAHOともに、CTGFsiRNAを投与した群とControlsiRNAを投与した群とで抗癌剤の感受性の違いはみられなかった。 卵巣癌細胞株において、低酸素暴露下でCTGFの発現が低下する傾向があり、低酸素になることによって抗癌剤耐性になることが知られていることから、正常酸素分圧暴露下と低酸素暴露下での卵巣癌細胞株におけるタンパク発現の違いを蛍光標識二次元電気泳動法を用いて解析したところ、3つの卵巣癌細胞株で低酸素暴露下でタンパク発現が減少するタンパク質スポットを検出し、このタンパク質スポットをCBB染色にて染色したゲルより切り出し、In gel digestion法にてトリプシン消化し、MALDI-TOF-MSを用いてMascot解析にて解析したところこのタンパク質スポットはHSC70であることがわかった。 HSC70とCTGFの情報伝達系の連関については現在解析中である。 また、興味深いことに乳癌においてはCTGFとパクリタキセル感受性との関連が卵巣癌と逆であるとの報告があり、卵巣癌と乳癌におけるパクリタキセルの感受性におけるCTGFを含んだ情報伝達系の違いを現在解析中である。
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