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2010 年度 実績報告書

漿膜浸潤部における癌と微小環境の変化

研究課題

研究課題/領域番号 22790365
研究機関独立行政法人国立がん研究センター

研究代表者

小嶋 基寛  独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, 室長 (30338470)

キーワード病理学 / 癌
研究概要

大腸癌が筋層を越えて以降の発育進展に関する報告は少ない。またTNM分類のT3,T4の病理判定はinterobserver differenceが予想される。
我々は腹膜反転部より口側の大腸直腸癌外科切除例564例において弾性染色を施行し、漿膜直下に確認される漿膜弾性板を越える浸潤(Elastic laminal invasion : ELI)陽性症例と陰性症例の形態比較から、腫瘍が筋層を越えて以降の発育進展を考察し、大腸直腸癌におけるELIの診断的有用性を検討した。
ELI部分は陥凹を伴い硬く触知された。ELI陽性大腸癌症例は陰性例と比較して、潰瘍が深く筋層及び漿膜の挙上が高頻度に見られた。組織学的評価において大腸癌ELI陽性例は陰性例と比較して線維化が強くbuddingや脈管侵襲が強くみられた。
大腸癌においてELIは独立した予後因子であったが、直腸癌においてELIは予後との相関は乏しかった。大腸癌においてELI陽性症例は同時性リンパ節転移が1.5倍、肝転移が3.3倍、腹膜播種が22.6倍あり、肝再発が5.9倍、腹膜再発が3.7倍認められた。
上記結果から大腸癌はELIに伴い肉眼的、組織学的形態変化を示すこと。大腸癌のELIは遠隔転移や再発と相関し診断的に有用であることが示された。弾性染色を用いた客観的で予後を反映するT分類を提唱することができた。今後、当院外科切除症例の40%を占め、約20%の患者が再発するものの、術後治療効果のエビデンスに乏しい病期Stage IIの症例を再発リスクの高いELI陽性と陰性に分類することができ、術後治療の対象症例が変わる可能性がある。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 大腸癌の浸潤・転移に関連する分子(遺伝子異常、発現異常)2011

    • 著者名/発表者名
      小嶋基寛
    • 雑誌名

      日本臨床

      巻: 69巻(増刊号) ページ: 149-152

  • [雑誌論文] In response2011

    • 著者名/発表者名
      Motohiro Kojima
    • 雑誌名

      American Journal of Surgical Pathology

      巻: 35(3) ページ: 468-469

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Peritoneal elastic laminal invasion of colorectal cancer. The diagnostic utility and clinicopathological relationship2010

    • 著者名/発表者名
      Motohiro Kojima
    • 雑誌名

      American Journal of Surgical Pathology

      巻: 34(9) ページ: 1351-1360

    • 査読あり
  • [学会発表] Peritoenal elastic laminal invasion of colorectal cancer : the diagnostic utility and clinicopathological relationship2011

    • 著者名/発表者名
      Motohiro Kojima
    • 学会等名
      Annual meeting in United States and Canadian Academy of Pathoogy
    • 発表場所
      San Antonio, Texas, UA
    • 年月日
      2011-02-28

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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