本研究は、これまでに分子病態の研究が進んでいなかったNK/T細胞リンパ腫について、アレイCGHおよび網羅的発現解析を組み合わせた手法を用いて解析したものであり、PRDM1およびFOXO3の両遺伝子が腫瘍形成に重要な働きをしていることを見出した。 NK/T細胞性リンパ腫に対してアレイCGHを行い、染色体6q21領域に高頻度のゲノム欠失を認めた。その領域に存在していた遺伝子の中から、発現においても減少が認められた7遺伝子について遺伝子導入による機能解析を行った。その結果、FOXO3およびPRDM1のみがNK細胞株の増殖を抑制した。一方、A20、HACE1をはじめとするその他の遺伝子には同様の効果は認められなかった。さらに、臨床検体において、FOXO3およびPRDM1の遺伝子変異も認められ、RT-PCRによって発現量も減少していることが確認された。これらのことは、両遺伝子が6q21のゲノム欠失の責任遺伝子である可能性を示唆するものである。 この結果は第70回日本癌学会学術総会において発表した。
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