研究概要 |
Tremファミリーは、細胞質外領域に一つのイムノグロブリン様ドメインを持つtype I受容体の一種で、免疫細胞の活性化状態を制御することが示唆されている。これまでにマウス樹状細胞サブセット間において遺伝子発現を比較することにより、マウスCD8陽性樹状細胞(CD8+DC)サブセットに多く発現している新規Trem様分子(Trem-like 4,Treml4)を同定し、このTrem-like4の細胞質外領域とヒトIgG1 Fc領域との融合タンパク質(Treml4-Ig)が死細胞に結合することを見出してきた。そこで、Trem-like4が認識しうる分子の同定を試みた。これまでの実験(Treml4-Igを用いたpull-down assay、ペプチドマッピング解析)を通して同定された分子を293T細胞に発現させて、FACS解析やpull-down assayにて検討を行ったところ、Treml4-Ig融合タンパク質との結合が確認された。しかし今後、この分子が実際にTrem-like4を活性化するかどうかを、培養細胞やTrem-like 4欠損マウス由来細胞を用いて検討する必要がある。 さらに、Trem-like4とともにCD8a+DCにおいて強く発現し、Trem-like4と何らかの作用をしている可能性も考えられる、ケモカイン受容体Xcr1についても解析を行った。その結果、Xcr1はCD8+DCに発現し、そのリガンドであるXcl1はCD8+DCに対して走化性を示し、また、Xcl1はNK細胞や活性化CD8+T細胞に発現しており、CD8+DCによるCD8+T細胞の活性化に何らかの役割を持っていることが示唆された。
|