研究概要 |
1)塩基除去修復酵素MUTYHは酸化的DNA付加体、8-ヒドロキシグアニンと対合したアデニンをDNA中から除去する働きを持っている。我々はMUTYH2型(核局在型)の組み換えタンパク質において高い純度での精製分離に成功し、14種の変異型タンパク質と野生型タンパク質の修復活性を比較した。この研究の中で野生型に比べ変異型p.I195V、p.G368D、p.M255V、p.Y151Cは弱い、あるいは中程度の活性の低下を示し、p.R154H、p.L360P、p.P377L、p.452delE、p.R69X、p.Q310Xはネガティブコントロールp.D208Nと同様にかなりの活性の低下を示した。これらの結果は正確なMUTYH関連ポリポーシスの評価やMUTYHの修復機構を知る上で有用なものと考えられる(Hum Mutat, 31 : E1861-74, 2010)。また我々はこれらの変異型おけるMUTYHタンパク質の局在への影響を調べるため、免疫蛍光染色を行った。核局在シグナルが欠損しているp.R69X、p.Q310Xは細胞全体に局在を示したが、その他の変異型は野生型と同様に核への局在を示した。2)塩基除去修復酵素の新たな基質を検索するため、我々は8種の組み換えタンパク質、OGG1、MUTYH、NTH1、NEIL1、SMUG1、UNG2、MPG、TDGを準備した。現在、ヒト組織の中で検出された過酸化脂質DNA付加体に対して、上記の塩基除去修復酵素における修復活性の検討を行っている。
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