研究概要 |
本研究は、平成22年度に『マウスおよびラット精子幹細胞の樹立』と『PiggyBacシステムによる精子幹細胞へのRNAi導入とその安定発現株の樹立』、平成23年度に『樹立したRNAi導入精子幹細胞の精子細胞除去精巣への移植と子孫の作製』及び『RNAi導入精子幹細胞由来子孫の性状解析』を計画していた。 平成22年度はまず、マウス及びラットの精子幹細胞の樹立を行った。新生児マウス・ラット精巣をトリプシン・コラゲナーゼにて処理し得られた精巣細胞を、胎児繊維芽細胞上GDNF,FGF-2存在下で培養し精子幹細胞を樹立した。マウスに関しては、遺伝子改変マウス作製へ応用可能である事が示されているDBA/2系統、ラットに関してはSprague-Dowly、Wistar系統のほか、Donryu, Lewis, Brown NorwayなどとSDとのF1 hybridからもGS細胞を樹立した。加えて、PiggyBacトランスポゾンをもちいて蛍光タンパクEGFPを精子幹細胞に発現させたところ、従来のプラスミドによる遺伝子導入に比較し効率よく安定発現クローンが得られ、トランスポゾンを用いた遺伝子導入法が有効である事を確認した。 平成23年度では、、フィーダー細胞としてマウス卵黄嚢由来血管内皮細胞株C166をフィーダー細胞として用いることで、従来法では樹立できなかったC57BL/6マウスより精子幹細胞を樹立することができた。並行して、Trp53に対するRNAiを発現するコンストラクトをPiggyBacシステムにより導入できるベクターを構築した。現在、これまでに樹立したマウス精子幹細胞株に、PiggyBacシステムをもちいてTrp53 RNAiを導入している。今後、Trp53 RNAiが導入された精子幹細胞を不妊マウス精巣内へ移植し精子を形成させ、子孫作製を試みる予定である。
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