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2011 年度 実績報告書

肝臓の胆管をモデルとした上皮組織構造の形成メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22790386
研究機関札幌医科大学

研究代表者

谷水 直樹  札幌医科大学, 医学部, 講師 (00333386)

キーワード組織形成 / 肝臓 / 胆管 / 3次元培養 / 上皮細胞
研究概要

上皮系臓器が機能を発揮するためには、細胞極性を獲得した上皮細胞がさらに立体的な組織構造を形成することが必要である。しかしながら、上皮細胞の成熟や組織構造形成を制御する分子メカニズムについては不明な点が多い。本研究では、肝前駆細胞株HPPLが上皮細胞として分化・成熟し、組織構造を形成する過程を3次元培養系を用いてin vitroで再現し、その過程を制御するメカニズムを解析した。
まず、肝前駆細胞が胆管上皮細胞へ分化する過程で発現上昇する遺伝子とて転写因子Grhl2を同定した。さらに解析を進めることにより、Grhl2は、3次元培養においてHPPLが形成するシストの管腔構造を拡張させる機能を持つことが明らかになった。Grhl2の発現によって、上皮バリア機能が亢進することが明らかになったので、タイト結合構成分子で、バリア機能を担う分子であるclaudin familyの発現が変化しているのではないかと考えた。Claudin familyの遺伝子およびタンパク質レベルで解析したところ、Claudin3および4が、Grhl2の導入によって発現上昇していることが明らかになった。また、Claudin3の強制発現を行うとシストの生長が促進されるが、Claudin3および4の機能を阻害ペプチドを用いて抑制すると、シストの生長が抑制されることが明らかになり、Claudin分子を介したタイト結合の機能亢進が、管腔構造形成に重要であることが明らかとなった。
さらに、Grhl2の結合配列をプロモーター領域に持つ遺伝子をデータベース上で探索することで、ターゲット分子としてRab25を同定した。Rab25の強制発現を行うと管腔の拡張が見られ、逆に優勢劣性変異体を発現することで管腔拡張が抑制された。
以上のように、本年度の研究では、転写因子Grhl2がClaudin3,Claudin4,Rab25の機能を介して、機能的なタイト結合の形成を制御することで、上皮細胞による組織形成の過程で管腔構造形成を促進していることを明らかにした。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Growth ability and repopulation efficiency of transplanted hepatic stem, progenitor cells, and mature hepatocytes in retrorsine-treated rat livers2012

    • 著者名/発表者名
      Ichinohe N, et al
    • 雑誌名

      Cell Transplantation

      巻: 21 ページ: 11-22

    • DOI

      DOI:10.3727/096368911X580626

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Proliferation of rat small hepatocytes depends on follistatin expression2012

    • 著者名/発表者名
      Ooe H, et al
    • 雑誌名

      Journal of Cellular Physiology

      巻: 227 ページ: 2363-2370

    • DOI

      DOI:10.1002/jcp.22971

    • 査読あり
  • [学会発表] Differentiation potential of cholangiocytes2011

    • 著者名/発表者名
      Tanimizu N
    • 学会等名
      Liver Down Under : Liver development, diseases & regeneration
    • 発表場所
      Perth, Australia
    • 年月日
      2011-11-29
  • [学会発表] 転写因子Grhl2は上皮バリア機能および上皮細胞の形態形成を制御する2011

    • 著者名/発表者名
      谷水直樹、千賀一徳、三高俊広、宮島篤
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都国際会議場
    • 年月日
      2011-09-22
  • [学会発表] 発生過程における胆管上皮細胞の肝細胞分化能の変化2011

    • 著者名/発表者名
      谷水直樹
    • 学会等名
      第44回北海道病理談話会
    • 発表場所
      旭川市国際会議場
    • 年月日
      2011-09-10
  • [学会発表] 胆管上皮細胞に特異的な転写因子Grhl2の機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      千賀一徳、谷水直樹、三高俊広、宮島篤
    • 学会等名
      第18回肝細胞研究会
    • 発表場所
      東京ガーデンパレス
    • 年月日
      2011-06-24
  • [学会発表] 胆管上皮細胞に肝細胞分化能の検討2011

    • 著者名/発表者名
      谷水直樹
    • 学会等名
      第18回肝細胞研究会
    • 発表場所
      東京ガーデンパレス
    • 年月日
      2011-06-24
  • [備考]

    • URL

      web.sapmed.ac.jp/canpath/Tissue_Regeneration/Top_page.html

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公開日: 2013-06-26  

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