本研究では、(1)胆管構造形成におけるLamininの機能解析、および(2)分化した上皮細胞特異的な遺伝子を同定と、肝前駆細胞株HPPLがCystを形成する3次元培養系を用いたそれらの分子の機能解析を行うことで、上皮細胞が分化・成熟して組織構造を形成する過程を制御する分子メカニズムの解明を目指した。 胆管の発生過程において、Lamininα1を含むisoformは胆管上皮細胞の運命決定および構造形成の初期に、Lamininα5を含むisoformは胆管構造の成熟化に寄与していることが明らかになった。 肝前駆細胞と胆管上皮細胞の遺伝子発現を比較し、上皮細胞特異的な遺伝子を同定した。次に、同定した遺伝子をHPPLに導入し、Cyst構造への影響を検討した。解析を行った分子の中で、転写因子Grhl2が上皮バリア機能を亢進して、Cyst管腔の発達を促進することがわかった。Grhl2は、Claudin3と4およびRab25の発現を制御することで、機能的なタイト結合の形成を制御して、管腔構造形成を促進していることが明らかになった。
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