研究概要 |
我々は以前腸管寄生性原虫赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)の貪食と貪食胞の成熟にフォスファチジルイノシトール3-リン酸を介したシグナルが重要であることを示した。本研究ではリン脂質シグナルを介した貪食胞成熟の分子機構を明らかにすることを目的に研究を展開したが、その過程でリソソーム酵素を小胞体からリソソームあるいは貪食胞へ輸送するレセプター分子を見出し、その機能解析を行った。CPBF1 : cysteine protease binding protein family 1と名付けた分子はシステインプロテアーゼ(CP)との結合分子として見出され、E. histolyticaゲノムに11のファミリー分子として存在していた。少なくとも4つのCPBFはリソソーム酵素をリガンドとすることが明らかになっており、ファミリー分子間でリガンドを分担し、輸送を行う分子群と考えられた。ここではCPBF8について機能解析を行った。CPBFは酵母やヒトでMPR, Vps10p/Sortilinとして知られる分子の機能ホモログと考えられるが、ファミリー分子がこの役を担うのは初めての発見であった。
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