研究課題
インフラマソーム形成は、様々な炎症誘導因子の分泌を促すことで感染症や自己免疫疾患などの病態に関わる重要な生体応答である。感染症においては、宿主が細胞内受容体を介して病原体由来のリガンドを感知することでインフラマソームを形成し、細胞死やIL-1betaなどのサイトカインの成熟化に必要なcaspase-1の活性化を誘導するが、その多くの反応はアダプター分子であるASCを必要とする。代表的な細胞内寄生菌であるリステリア(Listeria monocytogenes)もASCを介したインフラマソーム形成を誘導するが、昨年度我々はDNAセンサーとして知られているAIM2がリステリア感染を検知していることを明らかにした。今年度さらに検討を行い、Sykなどのキナーゼや1型IFNシグナルがインフラマソーム形成を制御する機構として働いていることを明らかにした。一方、我々は菌側の要因としてリステリアの主要病原因子であるlisteriolysin O (LLO)がインフラマソーム形成に関与すること、また4つのドメインから構成されるLLOのうち、膜傷害活性に重要なドメイン4は不要であることを2008年に報告している。そこで、このLLO分子内のインフラマソーム形成に重要な責任領域をさらに絞り込んだところ、LLOのドメイン1-3のうち、204-254番目のアミノ酸配列内に責任領域が含まれていることが示唆された。なお、マウス感染モデルではASCを欠損するとリステリア感染抵抗性が亢進することから、LLOを介したインフラマソーム形成は感染宿主全体で見た場合にはリステリアの病原性に寄与していると考えられる。
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