研究概要 |
【研究の目的】1,ヒトCD46Tgマウスを用いたG群レンサ球菌感染モデルを確立する2,患者由来の強毒株を用いて感染実験を行い、病態の観察及びそのメカニズムを解明する。 【研究成果】hCD46TgマウスのfootpadへG群レンサ球菌を2x10^7CFU皮下注射により感染させた。致死性において有意な差はなかったものの、TgCD46マウスはWTに比べ明らかに重篤な感染症状が見られた。よって感染モデルの構築に成功したと考えられる。 SDSE感染による多臓器不全で死亡した患者より分離された強毒株RE378を用いて、前述のように感染実験を行ったところ、hCD46Tgマウスの足において25日後に関節炎が認められた。対してWTマウスでは25日後の足部の病変は認めらなかった。 また、感染組織の病理学的解析を行ったところ、hCD46Tgマウスの関節部で破骨細胞の活性が顕著に増加していることが示された。対して、同条件下でのWTマウス組織では破骨細胞の活性化は認められなかった。 同時に感染部位の骨、及び膝下リンパ節より抽出したtotalRNAをReal-Time PCR法により定量したところ、hCD46Tgマウスでは、破骨細胞活性化に関わるRANKLの発現が非感染時に比べて増加しており、破骨細胞が活性化されていた病理学的解析の結果と一致した。またIL-6,TNFα等の炎症性サイトカインの発現も見られた。以上の結果から、hCD46を介したRE378感染によって宿主の免疫系に異常が生じ、関節炎を発症したのではないかと考えられる。(投稿準備中)
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