研究課題/領域番号 |
22790412
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
吉田 春乃 北里大学, その他の研究科, 助手 (70563386)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | CD46 / トランスジェニック / レンサ球菌 / 劇症型 / SDSE |
研究概要 |
平成24年度の研究実施計画は、前年度までに確立したStreptococcus dysgalactiae subspecies equisimilis(SDSE)感染マウスモデルの病態をふまえ、SDSEのゲノム構造の特徴をA群レンサ球菌(GAS)と比較し、その違いを考察することであった。その実施のためには、SDSEとGASの2株のゲノム情報が必要である。まず比較対象として、GASの劇症型感染症分離株であるGAS472のゲノム解析に着手した。菌体より抽出したゲノムDNAをライブラリ化し、454GSJrシークエンスシステム(Roche社)を用いてゲノムDNA断片の塩基配列を決定後、全ゲノム配列が既に明らかになっている侵襲性感染症由来GAS分離株のMGAS5005株ゲノム配列を元に、アセンブルおよびアノテーションを行った。 その後、MGAS5005のゲノム配列と一致せず不明領域(ギャップ)として示された部位、およびGAS472固有の配列と思われる領域を特定し、キャピラリシークエンサーを用いたプライマーウォーキング法によってその詳細な塩基配列を決定している。その結果、現在までにGAS472株に特有の領域、およびMGAS5005と異なる配列を持つ遺伝子などを複数特定することができている。 GAS472株はヒトCD46トランスジェニックマウスのfootpadに皮下投与した場合、数日のうちに骨壊死・壊死性筋膜炎による足の組織破壊を起こし、死に至る株であることがわかっている。このGAS472株の強毒性がゲノム構造の特徴に関連するものであるかを解明することで、侵襲性感染症の発症メカニズム解明に繋がると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
比較対象であるA群レンサ球菌の全ゲノム配列決定に予想より多くの労力が必要であり、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は現在行っているA群レンサ球菌のゲノム解析を完了させ、SDSEのゲノムと比較し、その構造上の差異を詳細に明らかにしてゆく予定である。比較はNCBI等のデータベース、in silico Molecular Cloning(インシリコバイオロジー社) 等のソフトウェアを用いて行う。
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