本研究は、新規なTLR シグナル抑制分子群の性質を明らかにし、最 終的には敗血症治療薬への同分子群の活用を目指し行った。米国一国においてさえ年間20 万 名もの死亡者数を数える敗血症の治療薬開発に利用可能なシーズとしての観点から、新規な TLR シグナル抑制分子群の機能解析を行った。その結果、まず敗血症治療薬候補分子として特 許化したペプチド「STM28」の作用点が細胞膜上にあることを明確にした。また、マイコトキ シンの1 種であるDeoxynivalenol については、TLR シグナルの伝達に関わるアダプター分子 の1つであるMyD88 への作用を介して同シグナルを抑制することが示唆された。さらに、同 じくマイコトキシンの1 種であるCitrinin によるTLR4 シグナルの抑制作用が確認された。今回 検討したTLR シグナル抑制分子群について、これらの成果は敗血症治療薬のリードコンパウン ドとしての各分子に対し貴重な知見を提供したと考えられる。
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