研究課題
本年度は、水痘帯状庖疹ウイルスのウイルス粒子に存在し、細胞向性に関わる因子であるORF49タンパクと相互作用するウイルス因子である、ORF44タンパクについてORF49タンパクとの詳細な相互作用部位の同定を行うと同時に、ORF49タンパクにおける相互作用部位についても同定した。ORF44タンパクにおいては一つのアミノ酸変異によりこの相互作用は消失し、一方ORF49タンパクにおいては酸性アミノ酸に富んだ4つのアミノ酸からなる領域がこの相互作用に寄与していた。それぞれの相互作用部位を別々に変異させた組換えウイルスにおいて、ORF44タンパクの変異はウイルス粒子の再構築に必須であり、ORF44タンパクのウイルス生活環における重要性とともに、この相互作用部位がORF44タンパクの機能中心である事も見出された。またORF49タンパクにおける相互作用部位における変異により、ウイルス粒子再構築は可能であったが、この変異ウイルスの増殖は、以前に作製したORF49タンパクを発現していない変異ウイルスと同程度に減弱しており、ORF49タンパクにおけるORF44タンパクの機能補完が重要である事を明らかにした。また本研究においてはORF44タンパクの重要性は明らかとなったが、その機能は明らかでなく、現在ORF44タンパクの機能を明らかにするべく、ORF44組換えウイルス感染において、ORF44タンパク機能を相補できる、ORF44タンパク発現細胞の作製を行っている。さらにORF44タンパクとORF49タンパクの相互作用だけでは、ORF44タンパクがウイルス粒子再構築に必須である事の説明ができず、ORF44タンパクと相互作用する新たなウイルスタンパクについても既に同定し解析をおこなっている。
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Journal of Virology
巻: Vol.84 No.7 ページ: 3, 488-3, 502
Current Topics in Microbiology and Immunology
巻: 342 ページ: 147-157