研究概要 |
CM2の翻訳後修飾がウイルス増殖に果たす役割を解明することを目的として、11位のAsnをAlaに置換したウイルス(rCM2-N11A)および1,6,20位のCysをAlaに置換したウイルス(rCM2-C1620A)を作製した。多段階増殖において、これらの変異組換えウイルスの増殖能は、野生型組換えウイルス(rWT)と此較して有意に低下した。しかし、感染細胞におけるウイルス蛋白質の合成に差はなからた。また、rCM2-N11A感染細胞で合成された糖鎖が付加していないCM2は、野生型と同じく2量体/4量体を形成し、細胞膜上に輸送された。一方、rCM2-C1620A感染細胞で合成されたCM2は量体を形成せず、細胞膜上への輸送が著しく低下していた。ことから、CM2の量体形成はCM2の細胞膜上への輸送に重要であることが明らかになった。 さらに、増殖の過程におけるCM2の糖鎖付加の役割を解析するために、ウイルス様粒子(VLP)を用いて解析を行った。N11A-VLPは、野生型VLP(WT-VLP)と比較してVLP当たりのゲノム(vRNA)コピー数が低下していた。このことから、CM2の糖鎖付加がゲノムのパッケージングに関与することが明らかになった。また、WT-VLP感染細胞と比較して、N11A-VLP感染細胞において初期の蛋白発現が低下していること、N11A-VLP感染後の細胞の核内へ移行したゲノムコピー数が減少していることがわかった。これらの結果は、CM2の糖鎖付加が、アンコーティングに関与することを示唆する。 これらの結果から、CM2の糖鎖付加および量体形成は、アンコーティングとゲノムのパッケージングの過程に関与し、C型ウイルスの増殖過程において感染性粒子の形成に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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