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ヒトポリオーマウイルスに分類されるJCウイルス(JCV)は、免疫不全患者等の脳において増殖し、致死的な脱髄疾患である進行性多巣性白質脳症を引き起こす。JCVに関する研究は細胞レベルでの解析を中心として進められているが、培養細胞におけるJCVの増殖効率の低さが技術的な課題となっている、本研究は、ヒト脳のcDNAライブラリーを用いたスクリーニングにより、JCVの増殖を潜在的に促進する宿主遺伝子群を同定し、これらの遺伝子を安定的に発現するJCV許容細胞株を樹立することを目的とする。研究初年度となる平成22年度では、JCVの増殖に関与するヒトcDNAを同定するためのライブラリーの調製と選別を行った。また、cDNAのスクリーニングにおいてJCVの増殖をモニターする上で必要となる迅速定量系の構築を行った。ヒト成人脳およびヒト胎児脳のcDNAを哺乳類細胞発現用カセットに挿入したライブラリーを準備した。これらのプラスミド集団を大腸菌に導入した後、プレート上に展開することで500種類以上のサブポピュレーションを得た。また、スクリーニングにおいてヒト脳cDNAライブラリーを導入した細胞におけるJCVの増殖を迅速かつ簡便に測定するため、細胞からのDNA抽出を必要としないリアルタイムPCRによるハイスループット定量系を確立した。また、cDNAの発現によるJCVの増殖促進を間接的にモニターするために、JCVのプロモーター領域を有するレポータープラスミドを準備し、広範囲スクリーニングのための基盤を構築した。
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