研究課題
胸腺はT細胞の正常な分化選択に必須の中枢リンパ組織であり、胸腺ストローマである胸腺上皮細胞は胸腺細胞と密に相互作用することによりその発生と選択を支持する。申請者はこれまでに、通常の上皮細胞においてタイトジャンクション(TJ)を構成する膜タンパク質クローディン(Cld)3,4が、上皮バリア機能を有さない成熟胸腺上皮細胞の一部に発現を認めること、またこのCld陽性細胞が末梢自己抗原に対する免疫寛容に重要な役割を果たすAutoimmune regulator(Aire)遺伝子を発現する特殊に機能分化した髄質上皮細胞であることを見出した。さらにCld3,4の発現を指標にすることで、Aire陽性上皮細胞の前駆細胞を発生初期の胸腺原基から同定することに成功した(Nat Immunol. 2007 Mar;8(3):304-311)。しかしながら、Aire陽性の特殊な髄質上皮細胞のみが通常の上皮細胞と同様に上皮特異的接着分子であるCldを発現する生理的意義については明らかでない。本研究では、胸腺上皮細胞に発現するCldの機能を明らかにし、胸腺上皮細胞が関与する免疫寛容と自己形成の分子メカニズムの理解に新たな分子基盤を与えることを目的とした。今年度は、Cld3,4ダブルノックアウトの作製を行った。Cld3とCld4はゲノム上で数40Kbpしか離れておらず掛け合わせによりDKOを得ることが困難であるため、Cld4KO ES細胞にCld3のターゲティングベクターをさらにエレクトロポレーションするという手順にて行っている。現在、Cld4KOに加えてCld3のターゲティングベクターが入ったESを取得し、キメラマウスを作製する段階まで進行した。
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Proc Natl Acad Sci U S A
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Cancer Sci
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