研究課題
インフルエンザワクチン及びインフルエンザ感染に対する獲得免疫誘導がどのような自然免疫反応に依存するのかを検討するため、ノックアウトマウスの感染・免疫実験を行った。TLR7やISP-1のノックアウトマウスを用いた実験では、インフルエンザウイルス全粒子ワクチンの免疫原性は、完全にTLR7に依存し、IPS-1には依存しなかった。また、最近インフルエンザ感染による獲得免疫誘導にインフラマゾームの活性化が重要であるとの報告を検証するため、インフラマゾームの活性化に必須なアダプター分子であるASCのノックアウトマウスでも感染・免疫実験を行い、インフラマゾームの活性化は、インフルエンザウイルスによる獲得免疫誘導には重要ではないとの結果を得た。また、不活化全粒子ワクチンの免疫原性は、TLR7のみに依存し、他のIPS-1やASCには、依存していなかった。この結果は、自然免疫応答のすべてが等しく獲得免疫誘導に貢献するわけではなく、少なくともインフルエンザウイルスでは、TLR7を介した経路は獲得免疫誘導を促進するが、他の細胞内レセプターを介した自然免疫経路は、ウイルスに対する生体自然防御機構としては必須であるが、獲得免疫誘導には必ずしも必須ではないことを示唆している。ワクチンによる獲得免疫誘導を考えた場合、獲得免疫に関与しない自然免疫反応はワクチンによる副反応の主体となっている可能性も考えられた。このような現象の細胞生物学的、組織学的な制御機構を明らかにするために、現在CD8T細胞のprimingをin vivoで可視化する実験系構築を進めている。
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