研究課題
インフルエンザ感染に対する獲得免疫誘導がどのような自然免疫反応に依存するのかを検討するため、ノックアウトマウスへの感染・免疫実験を引き続き進めた。インフルエンザ感染時のCD8T細胞誘導は、TLR7,IPS-1,ASCのいずれのシングルノックアウトマウスでも低下しなかった。そのため、それぞれのダブルノックアウトマウスまたはトリプルノックアウトマウスを作製して、CD8T細胞誘導の確認を行った。これまでに得られている結果からは、CD8T細胞誘導は複数の自然免疫経路によって相互補完的に制御されている可能性が示唆され、全粒子ワクチンによるCD4T細胞応答がTLR7経路および形質細胞様樹状細胞(pDC)に大きく依存していることとは対照的であった。またリステリア感染モデルにおいてCD8T細胞応答を制御する免疫細胞群を同定する目的でBatf3ノックアウトマウスを用いてリステリア特異的なCD8T細胞応答を検討したところリステリア感染によるCD8T細胞応答はBatf3依存的なCD8陽性樹状細胞に大きく依存していた。これらの結果は、獲得免疫の誘導には自然免疫応答が重要であるが、抗体産生・CD4T細胞応答・CD8T細胞応答のそれぞれに必要な自然免疫応答や免疫応答に必須な樹状細胞サブセット集団は異なることを示唆しており、ワクチンによる獲得免疫誘導を考えた場合、獲得免疫に関与しない自然免疫反応はワクチンによる副反応の主体となっている可能性も考えられ、そのワクチンにとって適切な自然免疫を刺激することで効果と安全性を両立したワクチン開発の可能性が示唆された。
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