これまでにIL-17産生gdT細胞の胸腺内機能分化にはNotch-Hes1を介したシグナルが必須であることを見出している。本年度はさらに詳細にIL-17産生gdT細胞機能分化機構を解析した。まず、gdT細胞の前駆細胞が含まれる細胞群(double-negative(DN)2及びDN3 stage)を分取後、in vitroにてT細胞へ分化誘導しgdT細胞のIL-17産生能について解析した。その結果、IL-17産生gdT細胞はDN2細胞からNotchシグナル依存性に分化することが明らかとなった。興味深いことにDN3細胞からはNotchシグナル存在下においてもIL-17産生gdT細胞分化は認められなかった。さらに単細胞レベルで解析を行った結果、確かに一つのDN2細胞よりIL-17産生gdT細胞の分化が認められた。以上よりIL-17産生gdT細胞はDN2細胞よりNotchシグナル依存性に分化することが明らかとなった。 日和見感染を引き起こす病原性真菌であるCandida albicansを用いてIL-17産生gdT細胞の感染防御における役割を検討した。IL-17及びgdT細胞いずれの欠損マウスにおいても感染24時間後の肺において顕著な菌排除の低下を認めた。さらに感染後にgdT細胞より誘導されるIL-17産生にはTLR2-MyD88経路を介して産生されるIL-23が関わっていた。そしてgdT細胞によるIL-23誘導性IL-17産生にはtyrosine kinase2が必須の役割を担っていた。このように病原性真菌に対するIL-17産生gdT細胞の感染防御における新たな役割が明らかとなった。
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