CD4^+CD25^+制御性T細胞は様々な免疫反応を抑制的に調節する機能に特化した特異なリンパ球である。近年制御性T細胞に関する研究は活発に行われているが、胸腺で分化し、末梢に移った後にどのような機構でその恒常性を維持しているのかは未解明である。本研究では我々が二次リンパ組織から単離、細胞株化したストローマ細胞とその表面に発現するCD48分子に注目をして研究を進めた。 これまでの研究によりBALB/cマウスの脾臓とリンパ節から単離したCD4^+T細胞をストローマ細胞との間で一週間共培養すると、CD4^+T細胞単独で培養するよりもより多くの制御性T細胞が確認されることがわかっている。そこでストローマ細胞表面に発現するCD48と、その受容体であり、T細胞表面に発現するCD2の相互作用に注目し、この共培養の系に抗CD2、もしくは抗CD48ブロッキング抗体を入れた所、CD4^+CD25^+制御性T細胞分画の減少が観察された。この制御性T細胞の減少はアポトーシスの亢進によるものだというとことがわかった。またブロッキング抗体によってCD48/CD2相互作用を阻害された制御性T細胞は、それ自身のFoxp3発現や免疫抑制能は変化しないことがフローサイトメトリーと混合リンパ球培養による結果から明らかになった。さらにストローマ細胞上のCD48発現をsiRNAによってノックダウンすると、ブロッキング抗体を作用させたときと同様の結果が得られた。 BALA/cマウスに抗CD2ブロッキング抗体を腹腔内投与し一週間後に、リンパ組織および胸腺中の制御性T細胞をフローサイトメトリーによって解析したところ、鼠蹊部リンパ節、腸間膜リンパ節および脾臓中の制御性T細胞の割合が減少することがわかった。 以上のことから二次リンパ組織においてストローマ細胞はCD48/CD2相互作用を介して制御性T細胞を維持していることが示唆された。
|