研究課題/領域番号 |
22790488
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒田 佑次郎 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (50538783)
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キーワード | がん / PRO / 医療社会学 / 臨床心理学 / 有害事象 / 患者参加 / 患者医師関係 / 患者役割論 |
研究概要 |
がん医療において、医学的検査所見にもとづき医師や専門家によって把握される「客観的測定」と、本人の意識や訴えによって表現される「主観的指標」は必ずしも一致しないことを示し、その要因を定量的な手法で分析を行った。調査に用いた尺度は、健康関連QOL尺度であるEORTC QLQ-C-30およびEORTC QLQ-BR23、そして、心理特性の測定をするSate and Trait AnxietyおよびGeneral Self Efficacy Scaleを用いた。最終的に144名(平均年齢66.2歳)が研究に参加をした。分析は、尺度ごとに得点化を行い、心理尺度に関しては、その他の健康状態に与える影響を検討するために、重回帰分析を行った。最終的に、医師による評価と患者の評価を比較し、心理的反応との関連を検討した。これらの研究成果は、41^<st>European Association for Behavioral and Cognitive Therapies Annual CongressおよびInternational Psycho-oncology Society 13^<th> World Congressの国際学今で発表を行った。 つぎに、患者の主観的指標が、患者にとってどのような位置づけであり、臨床試験および実臨床に利用可能であるかを検討するために、インタビュー調査を行った。研究デザインは質的研究とし、治療中のがん患者10名に対して半構造化面接を実施した。まず、研究計画書およびインタビューガイドを作成した。つぎに、研究対象施設の倫理委員会へ申請を行い、承認を得た。インタビューの内容は録音し、インタビュー終了後に文字起こしを行った。その後、1名の研究者がコーディング作業を行い、1名の研究者が加わり、コーディングの妥当性を検討した、また、分析に際し、質的研究の専門家からのスーパーバイズを得た。現在、学会発表および論文の作成中であり、纏まり次第、投稿をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、医療をうける患者の主観面を客観的に測定する方法として、Patient Reported Outcomeという概念に着目し、その有用性を、定量的・定性的な手法を用いて検証することを目的としている。現時点で、定量的な調査が終了し、国際学会で発表を行った。また、定性的な調査も順調にデータを収集し、分析をしている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで得られた研究成果(論文および学会報告)から、Patient Reported Outcomeという概念を、医療社会学や臨床心理学での位置づけを行い、理論化を行う。
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