臨床診断推論を組み込んだ身体診察法(Hypothesis-Driven Physical Examination)の実技試験の基盤となるモデル教育の開発について、平成22年度にプログラムの内容を医学教育学の国際誌Medical Teacherに掲載したが、国内外の各方面から問い合わせもあり、非常に好評であった。また平成22年度に引きつづき同教育法に関して、シンガポール国立大学で開催された第9回アジア太平洋医学教育学会で招待演者としてワークショップを開催し、世界の多くの聴衆から好評を得た。また同学会において、HDPEに関連した一般講演発表も行った。 実技試験の開発については、当初立てていた実験的試験案を見直すことになり、研究チーム内での討議に加えて新たに別の試験開発の研究者との討議を重ね、新たな実験的実技試験案の開発に至った。平成23年度は、研究協力者に新たに卒後9年目の総合診療医を得て、共用試験OSCEの出題範囲の身体診察をすべて網羅する試験課題の作成を完了した。作成したシナリオは全部で24個となり、その主訴は「腹痛」「呼吸困難」「上肢しびれ」「めまい」「右上腹部痛」「乾性咳嗽」「浮腫」「頭痛」「胸痛」「動悸」「左頬部痛」「咽頭痛」「意識障害」「難聴」「四肢のしびれ」「下肢痛」「視力障害」「書字困難」「四肢脱力」「血圧上昇」となった。現在、その内容に関して、専門家による妥当性・信頼性・実現可能性の確認作業を進めている。
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