医療機関、福祉施設、在宅、地域において、高齢期を本人と家族が希望する場所で過ごすことを可能にするケア体制が模索されている。地域における人口動態、疾病構造、医療資源からなる地域特性に着目し、高齢者の終末期における医療、介護のケアサービスの数量計測とサービス活用パターンの類型について検討を行った。 (1)高齢者ケアの研究体制の整備が見られる欧州におけるケアサービスの利用類型および費用分析を含むEnd of Life研究の研究手法について実地調査を行った。研究体制、特に全国的なデータネットワークについて、欧州各国と日本における研究体制の現状課題を整理し、欧州各国と日本との比較検討を行った。欧州では、社会保険制度上、全国的な医療福祉のケアサービス利用が把握可能であることに加え、家庭医及び病院のサーベイランスネットワークが、死亡場所、医療の利用状況に加え、施設や自宅の移動、福祉にかかるケアの質についての全国データベースの補完に寄与していた。 (2)(1)より、高齢者の医療、介護サービス利用に関する情報入手について、個人情報保護を考慮した国民健康保険及び介護保険の調査項目の抽出と突合を用いた調査手法の設計を行った。 (3)自治体の協力のもと、国保診療報酬請求書および介護給付費明細書の2008年以前のデータを国民健康保険者の情報提供により入手し、死亡が認められた高齢者の死亡前の医療及び介護給付の実態を調査した。
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