研究概要 |
本年度は、研究遂行のための事前準備と、データ収集を中心に研究を進めた。事前準備として、最初に、一次データを調査するためのレビューワーを選出した。レビューワーは、小児科看護師3名ならびに管理栄養士1名の計4名を選出し、事前に作成したトレーニングマニュアルを用いて事前の訓練を行った。本研究では、設定期間中に対象施設に入院した全患者のカルテをレビューワーが経時的に調査し、患者背景(潜在的リスクファクター)並びに薬剤性有害事象や薬剤関連エラーに関するデータをすべて抽出する。事前訓練は、この作業が客観的かつ再現性をもって均一に行われるためのものであり、全てのレビューワーに対し、森本らによって確立された(Morimoto et al. Qual Saf Health Care, 2004)方法に基づいた事前訓練が行われた。十分な訓練を終えたレビューワーは、研究施設である東京慈恵会医科大学附属病院及び島根県立中央病院にそれぞれ配置され、全対象患者のカルテや疑義照会、インシデントレポートを用いて、患者背景と薬剤性有害事象及び薬剤関連エラーに関する情報を網羅的に収集した。対象患者は、東京慈恵会医科大学付属病院の小児科病棟、NICU(新生児集中治療室)及びPICU(小児集中治療室)と、島根県立中央病院の小児科病棟及びNICUに研究期間中に入院した全患者ならびに、同期間中に他病棟に入院した15歳以下の患者すべてを含む。本年度は、約900件の患者登録と一次レビューを終えた。
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