研究課題
各疾患の病態推移状態を把握するためには、ある程度客観的な指標が必要となる。そこで本年度では、糖尿病を対象として75g経口ブドウ糖負荷試験のデータを用い、検査データに基づき患者グループを糖尿病群、耐糖能異常群、正常群の3群に分類を行った。その3群において、糖代謝機能、脂質代謝機能、肝機能、炎症に関しての検査項目に関して、違いがあるかどうかの解析を行った。その結果、糖代謝機能に関しては、3群間において違いがみられ、この分類方法が妥当であることが確認された。脂質代謝機能に関しても3群間において違いがみられ、インスリン抵抗性との関係性が指摘されている先行研究と同様な結果が示された。肝機能に関しては、耐糖能異常群と糖尿病群の間に有意差が示され、糖尿病の進行と関係が指摘されている先行研究と同様な結果が示された。糖尿病の機序に関して既に研究されていることと相関した結果が示されている。本研究で明らかにしたことは、先行研究で用いられている、日常診療ではほとんど行われない検査項目ではなく、診療で頻繁に用いられている検査項目であっても、分類が可能な程度には違いが示されたことである。これにより、糖尿病患者の分類だけではなく、糖尿病診断では用いられない他の検査項目を組み合わせることで、長期的な病態推移予測が可能となる。現在予測モデルの構築を行い、24年度の医療情報学会全国大会にて成果発表を行う予定となっている。また、このような解析研究を行うためには、長期的な検査データの信頼性が必要となる。これを担保するシステム開発に関しての研究発表を国際会議IEEE CPSCom 2011にて行った。
2: おおむね順調に進展している
既に画像特徴量を抽出しデータベース化行うアルゴリズムを構築し、研究発表を行っている。さらに、本年度において分類するために必要な検査項目の洗い出しを終了している。
診療データにおける時系列データを扱う際に、患者の来院によってデータ取得間隔が異なる点、及び検査が行われないことによる欠損値の取り扱いが問題となる。そこで、粒子型フィルタによる実装を行うことで、欠損値の場合でもデータ処理が継続可能となるように、データ取り扱いを行う。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics
巻: Vol.16, No.1 ページ: 87-93